予防医学研究所ニュースレター2009.05

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2010.7.14            
 


予防医学研究所 ニュースレター 2009.05


皆さんお元気ですか。ここ一年ほど家族からのきついメッセージが来つづけているのですが、最近は、きついけど気づけた後の楽しみもある、と少しは思えるようになってきました。今回もそのような体験をお伝えいたします。

子供の万引き・・・

ある日妻が、「下の子供(6才)に、リサイクルショップで1つ100円のガンダムのおもちゃを3つ買ってあげて、家に帰って袋を見ると12個入っていた。どうも、子供がお金を払わず持ってきてしまったとしか考えられない」と言います。
そこで、本人に確かめるために話をすると、お店の人がタダでくれたと言うのですが、どう考えてもおかしい・・・。
「もし、お金を払わずに持って来てしまったら、ドロボーでそれは悪いことなんだぞ!」と言うと、「うるさい、どうしてボクが悪者になるんだ」と泣き出してしまいました。そして、本人が自覚しないと意味がないと思い、話をするのをやめました。
万が一、お店の人がタダでくれた可能性もあるのでお店に行って確認すると、タダであげた事実はないとのこと・・・。店員さんが「夕方には店長が戻って来るので、詳しくは店長と話して下さい」と言われます。

家に帰り、息子のプライドを傷つけないように気をつけながら、ガンダムを返しに行ってあやまるように話をしました。
「もし間違って持って来ちゃったのなら、返して謝ってこよう」
「えーっ、返すの・・・」
「でもさあ、お金をもらえないとお店の人のお家では、ご飯を買うお金がなくなっちゃうんだよ」
「でも返したくない」
「お金を払わずに持ってくるのは悪いことだから返しに行くよ。お店の人にはごめんなさいと謝るんだよ」と伝え、渋々行くことになりました・・・。

お店の人にあやまりに行く

お店に着いて、店長さんに事情を説明して品物を見せ、息子にあやまりなさいと言ったのですがあやまりません・・・。目の前に店長さんがいるので何とか謝らせようと「これは悪いことだからあやまりなさい」と言ってもダメ。「もし謝らなければお店の外でずーっと立ってるからな」と言ってもダメ。2〜3分押し問答をしてから、店長さんに、「ここにいるとお店のジャマですか?」と聞きました。
すると、「うん、邪魔だね。でも、もういいよ。この子は物をぬすんでおいて、悪いとも思わなければあやまりもしない。これがうちの子だったらこてんぱんにぶんなぐってるね。でも、あなたにはあなたの教育の仕方があるんだろうから、しかたないでしょ。あなたは悪いと思って子供を連れて来たんだからもういいよ。でも、自分の子供が同じことをしたら、こてんぱんにぶんなぐって教えるね」とイラついた感じで言われます。
その迫力に押されたのと、「あなたは子供のしつけもろくにできない、なさけないオヤジだなあ」と否定されたように感じてしまいました。そして、そこまで言われるのなら、もう一度子供にあやまるように言って、あやまらなければぶんなぐろうと思いました・・・。

そこで、もう一度「あやまりなさい」と言ってもあやまりません・・・。しかたない、ここはなぐるしかないな・・・と思ったのですがどうしても手が出ません・・・。
しかたなく店を出て、外で話を聞かせることに・・・。「悪いことをしてあやまらないと警察に行くんだよ」と言うと「それはヤダ」。そして、持ってきたことは何となく認めたのですが、あやまる気配はナシ。しかたなく、「お店からお金を払わずに勝手に持ってきたらダメだよ。二度としないね」と約束してその場を立ち去りました。

物をあげておわびしなくてもいい・・・

ガンダムはビニール袋に入っていて、ホチキスで止めてあったものを、裸のまま返していました。そこで、袋に詰める作業と、精神的な迷惑をお店にかけてしまったので、どのようにおわびしたらいいのかなあ?と考えていたところ、ビール券を持っていこうと思いつきました。
しかし、ここはチューニングしてみようと思い、「おわびにビール券を持っていく必要度は?」とプログラムして観じたら0%と出るのです・・・。

この文化で学んだおわびのしかたは、相手に迷惑をかけた場合は、その分のエネルギーを何らかの形にして返す、というのが私の常識です。しかし、チューニングでは、そうする必要はないと出ました・・・。それは、今までの考え方や私の常識とは違うので、何か腑に落ちなかったのですが、とりあえずチューニングの結果を信じてみようと思いました・・・。

どうしてぶんなぐれなかったんだろう・・・

おわびの件はともかく、今までだったら、迷惑をかけた相手の気がおさまるようにぶんなぐっていたケースなのに、なぜ今回はなぐれなかったのかなあと考えてみました・・・。
そして、ある友人から聞いた話を思い出しました。彼は、子供が悪いことをしたらぶんなぐることもしつけのうちだと思っていたのに、あることに気づいた瞬間から、子供をなぐれなくなってしまったという話です。

そして「アッ!」と思いました。あの状況でなぐるのは、店長さんから子供の教育をちゃんとできない、しょうもないオヤジだと思われたくなくて、自分のプライドを守るためになぐろうとしたんだよな・・・と・・・。
もう少し深く考えてみると、例えば自分より立場が上の人がミスしてもなぐらない(なぐれない)よなあと・・・。つまり、息子を自分より下に見ているのでなぐろうと思ったのではないか・・・。この気づきは案外衝撃的でした。

それは、人には「あらゆることを、自分のエゴへのメッセージとして、受け入れることが大切です」と話しているのに、息子が万引きすると、自分のエゴへのメッセージとは受け取れない・・・。そのうえ、自分のプライドを守ることばかり考え、ビール券を渡そう、なぐろうと形式的に解決しようとしていた・・・。

本質から見ると、息子は、私がエゴにきづくために万引きしてメッセージを送ってくれた。しかし、それをメッセージだとは気づけず、「悪いことをしたからあやまれ」と息子を責めてしまい、申し訳なかったなあと思いました・・・。
また店長さんも、嫌われ役を買って「オレならぶんなぐる」とメッセージを送って、気づきのサポートをしてくれたのに、言われたことにムッとしてしまい申し訳なかった・・・。今回の体験は、この店長さんがいたから体験できたわけで、本当はありがたいことなんだよなあと思いました。

セミナーは自分のためにやっている・・・

次の日、「家族と本音でコミュニケーションをとる」というテーマのセミナーがありました。そこで、今回の子供の万引き事件について皆さんに伝え、皆さんが「なるほど」とうなづいて終われば、めでたしめでたしなのですが、そんなに甘くはなかった・・・。

参加者から、「何か気づきのポイントが他にもあるみたい・・・。その店長さんがボクならぶん殴ると言ったのは『なぜ家族と真正面からぶつからないのか』ということではないの」と言われました・・・。
ちょうどその日のテーマは、「家族と本音でコミュニケーションをとる」ということだったので、その言葉がズシーンと響き、確かに「真正面からぶつかっていなかった」と感じました。そして、すごいことに気づいたと思って有頂天になっていたけど、それは、まだまだ気づきが浅かったんだと思うと、はずかしくなってしまいました。
しかし、学びはここで終わらず、ダメ押しのサポートが待っていたのです・・・。

サポートするつもりがサポートされてしまった・・・

ある友人に、今回の気づきをシェアーすると、その人のサポートになるかもしれないと思って電話しました。
話が終わって、少したってからその友人が、「実は、昨日息子さんが万引きされたという話を妻から聞いて、お電話いただく前に息子さんの本質に意識を向けてみたんですよ。すると、息子さんの本質からのメッセージのようなものを強く感じました」
「えーっ、それはどういうことなの?」
「どうも、若林さんと奥さんとの関係へのメッセージを伝えているように感じたんですよ」と言われます・・・。詳しく話を聞くと、そうかあと思いました・・・。

そこで、次の日の朝、息子に、「ガンダムを持ってきちゃったのは、パパとママがけんかしているのがいやで持ってきちゃったの?」と聞くと、「まあそうかなあ。パパとママけんかしているのがイヤで持ってきちゃったかも・・・」と言われ絶句・・・。
今回、何回も気づいたと思ったことが、またまた崩れて新たなメッセージが・・・。
「気づいたと思った時は、気づいていないと気づくのが最低限のスタートである」ということを、またまた思い知らされてしまいました・・・。
今後は、息子が送ってくれたメッセージに取り組み、自我を減らしていきます。

最後まで、読んでいただきましてありがとうございます。
できるだけ、一人一人の皆さんと交流したいと思っております。
何か感じたことや感想等があれば、気軽にお伝え下さい。

 

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