予防医学研究所ニュースレター2010.07.05

バックナンバー
2008.01 2008.06 2008.11 2009.05 2009.7.7 2009.12.18 2010.7.5
2010.7.14            
 
予防医学研究所 ニュースレター 2010.07.14

皆さんお元気ですか。今回も、最近体験したことをお伝えしていきます。

人助けだと思って保証人になる・・・

1年ほど前に、妻が相談があると言ってきました。それは、妻の友人がガンになってしまい、現在治療をしている。彼女の家はゴミ屋敷のようで、あのまま住んでいるとガンの治療のためによくないと思う。近くにいい部屋を見つけたので話をしたら、彼女も引っ越ししたいと言ってきた。彼女はアメリカ人で、日本に保証してくれる人がいないから、あなたが保証人になってあげてくれない。
そう言われて、今までいろいろな人から、保証人になって大変な思いをしたという話を聞いていたので、それが頭をよぎりました・・・。しかし、状況が状況なので、まあここは人助けだと思って保証人になるかと思いました・・・。

初めの約束では、新しい家に引っ越してから2〜3ヶ月で、不要なものはトランクルームに入れ、ゴミ屋敷は引き払うとのことでした。しかし、一年たった今でもゴミ屋敷はそのままで、二軒分の家賃を払っています・・・。ガンの治療をしながら英語を教え、二軒分の家賃を払う・・・。数ヶ月前から、経済的にも大変になってきて、ルームメイトに新しい家の一室を貸し、家賃の足しにしていたようです・・・。

しかし、今度はそのルームメイトがアル中で、1晩中起きていて眠れないので、またゴミ屋敷に戻って生活しているとのこと・・・。それは話が違うだろーと思いました・・・。しかし、彼女は抗がん剤と放射線治療で心身ともに疲れて、正常な判断が出来ないようです・・・。どうしてよく調べないで保証人になってしまったんだ、と後悔してもあとの祭り。この現実から学んでいくしかありません・・・。

引越しを決める

そこで、関係者全員が集まり話をしました。まずアル中のルームメイトには、出て行ってもらうことにしました。また、妻の友人にも、8月中旬に引っ越すと決めてもらいました・・・。
少ししてから、彼女からメールが来ました。私はもともと9月に引っ越す予定だったのに、あなたたちから、健康に一番悪い時に引越しを決めさせられた。8月中旬には抗がん剤と学校の予定があり引っ越せない。出来るとしたら7月上旬しかないとのこと・・・。自分で納得して決めたのに、決めさせられたと言われるのは心外でした。

数日して、私は抗がん剤で疲れきって、仕事も忙しい時に引越しの準備をしている。あなたたちが7月上旬に引っ越すと決めたせいで、肉体的にも精神的にも最悪だとのメールが。それを読んで、7月上旬と決めたのは自分なのに、なぜ私たちが決めたことになっているんだと思いました・・・。
それから数日間、私たちをののしる長いメールがしょっちゅう来ました。しかし、彼女の部屋の保証人になっているので、理不尽でも対応するしかありません。

人は他人に決められるのがイヤ?

そこで、妻と2人でこの問題について話し合っているうちに、彼女は私たちに命令されて引越しを決めさせられたと思い込んでいる。その感じがいやなのではないかと思いました。
そこで、さっそく彼女にメールして、「8月中旬までに引っ越さなくてもいい。また、7月上旬に引っ越すと決めてネガティブになっているようなので、それはあなたの健康によくないからやめるべきだ。あなたの都合のいい時に引越したらいいと思う」とメールしました・・・。

すると、その日の夜になって、「私のことをわかってくれてありがとう」というメールが来ました。やはり、私たちが8月中旬までに引っ越せと命令したと思い込み、それがイヤだったようです。
また、1年以上も2軒の家を借りていたことを心配していました。しかし、今回のことで、彼女が自分で決めない限り、問題は根本的に解決しないことがわかりました。そこで、いつ引越しするかは、彼女に任せようと思いました。

自ら引っ越すと決めたものの・・・

すると、またメールが来て、「やっぱり7月上旬に引っ越すことにした。そうしないとずっと引っ越せないと思うから」と書いてあり、へえーと思いました。それは数日前までは、私は、7月上旬に引っ越すとあなたたちに決められて大変だ、とうらみつらみを述べていた人が、1転して7月上旬に引っ越すと言い始めたのです。

それから毎日のようにメールが来ましたが、ネガティブなものもありました。「やはり最悪のタイミングだ」とか「9月にはトラックを無料で借りられたのに」とか書いてきます。妻は、ネガテイブなことには取り合わないで、とにかく引越しするサポートをしようと言います。そこで、「トラックはこちらで用意するから、出来るだけやってみよう」と伝えると、何とかやってみるとのメールが。この1週間は、彼女からのメールの対応で大変でした。
彼女の家を訪ねてみると・・・

引越しの前日に、パッキングを手伝うため彼女の家に行きました。そして、家の中を見てびっくり・・・。八畳と六畳とLDKのうち、八畳の部屋いっぱいに荷物が埋まっています。それも、スーツケースやバッグ、紙袋やビニール袋に入れて、無造作に天井まで積み上げられています。これでは引越しできると思えないよなあ、私もどうしたらいいかわからないと思いました。しかし、1度乗りかかった舟なのでやるしかありません。その日は妻と彼女と3人でパッキングして、少し片付きました。

帰りの車の中で、妻と保証人になった経緯について話をしました。私たちは、彼女の家の状況を確認もせずに、ガンになってかわいそうだからと、感情的に反応して保証人になってしまった。しかし、彼女の家の状態をチェックしなかったのは、私たちのミスだった・・・。あの状況がわかっていたら、1年前に引越しするよりも、部屋の整理を手伝うことが必要だったかもしれない・・・。
また妻は、彼女は自分が必要以上に物を買い込んで、他の人に与える余裕がない。人に与えずに自分の中に溜め込むと、家も体も病気になってしまうのではないかと言います。

引越しする

引越しの当日は、8人ほどの人が入れ替わり立ち代り手伝って、荷物のパッキングとトラックで荷物を移動しました。1年ほど前に、洗濯機、冷蔵庫、机とイス、ベッド、服などの生活必需品は、新しい家に引越ししていました。
今日は、ごみ屋敷のようになっている荷物をつめて移動するのですが、恐ろしいほどの量です。キャスター付きの小さなスーツケースだけでも40個ほどあります。あとは、ダッフルバッグが30個、散らばっている物を詰めたダンボールが50個。そのほか大きい衣装ケースが3個にイスに収納ケース・・・。
1トントラックで三往復し、朝10時から夜の10時までかかって、新しい家の6畳間に、2つの壁面を天井まで使って収納しました。

もう終わった時はクタクタです。すると彼女がありがとうと言って、近くのレストランで食事をご馳走してくれました。そこで、この際彼女に、なぜ物を溜め込むようになったのか、聞いてみようと思いました。

「部屋の荷物をパックしていた時、同じような仕事用のバックが30個ぐらいあった。私は、仕事に使うバッグは、新しいのを買うと古いのを捨てるから1個しか持っていない。なぜ同じようなバッグを30個も持っているの?」
「あなたは、昔の部屋の状態を知らない。これでも荷物をたくさん捨て、今は昔の半分になっている」
「でも、私の感覚だと、どうして古くなったバッグを捨てないで、30個もとっておくのかがわからない」
「あなたは、私の話を聞いていないのね。今はたくさん捨てて、昔の半分になったと言っているじゃない」
話が全くかみ合わわないので、そこでやめました。しかし、引越しを手伝ってくれた彼女の友人が、キャスター付きのスーツケースの多さに驚き、「彼女は飛行機をハイジャックして、スーツケースを全部持ってきたのよ」とジョークを言ってきましたが、それに近いものがあります・・・。そんな調子で、服も靴も本も雑誌も雑貨も溜め込んできたようなのです。

彼女がネガテイブになっている時は、引越ししたくない、あなたたちに生活をむちゃくちゃにされたと罵ってきました。しかし、引越しの当日メイドさんを二人雇い、お礼にデイナーにも連れて行ってくれた・・・。彼女の初めの態度からすると、自らの行動に責任を取り、ポジィテイブになっていることに驚きました。
彼女が意識を変えて、引越しにポジテイブに取り組んだことは、彼女のガンの治療にとってもいい影響があるのではないかと思いました。

今回、初めは保証人になって失敗したと思ったのですが、いろいろ体験して学べたのも、自分が保証人になったからで、これもよかったのだと思いました。

お知らせ

健康講座
テーマ:病気と心の関係
日時:7月24日(土) PM2:00-4:00
詳しくはhttp://www.yobou.org/20100724.pdf
をご覧下さい

予防医学研究所 ニュースレター  発行人:若林明彦
110−0016 台東区台東2−26−8 2F
TEL 03−3831−0230
FAX 03−3831−2153
E−mail info@yobou.org
HP http://www.yobou.org